Wine

ワインの作り方

今回からワインエキスパート受験で学んだ内容を箇条書きにして投稿していきます。

私はもともとインストラクターの経験があり、周りの飲み友達から「勉強を兼ねたワイン会」を頼まれることも多く、簡単に要点が説明できるように箇条書きにまとめていました。

以下の方にはオススメの内容です!

・ワインは好きだけど本を買って勉強するほどではない。
・ワインの基本的な話ができれば十分だと考えている。
・なんならワインに酔ってる時に雑学として流し読みしたい。

白ワインと赤ワインの作り方

1.収穫・選果(9月)

・雨が降るとワインが水っぽくなるので天気予報から収穫日を決める。
・機械より手摘みの方が果実を傷つけない。傷ついた葡萄は腐りやすい。
・選果では未熟な実、劣化した実、葉を除去する。良いワインほど厳しく選果する。

2.破砕・除梗(9月)

・ぶどうを潰し(破砕)、梗を取り除く(除梗)。昔は足で潰していた。
・タンニンや複雑性を重視する場合は除梗せずに梗ごと発酵させる(全房発酵)。
・全房発酵の代表生産者:DRC、ルロワ、プリューレロック
・完全除梗の代表生産者:アンリジャイエ

3.圧搾(9月)

・ぶどうに圧力をかけて果汁を絞る。
・白ワインの場合は発酵前に圧搾する。赤ワインの場合は発酵後に圧搾する。

4.発酵(10月)

・主発酵:酵母を入れてブドウ糖をアルコールと二酸化炭素に分解する。
・ぶどうの糖度2度に対して1%のアルコールが生成される。
・天然酵母が生きられるアルコール度数は14.5%まで。
・マロラクティック発酵:リンゴ酸を乳酸に分解することでワインの酸味を和らげる。
・発酵温度を低くするとフレッシュなワインになり、高くすると複雑味が増す。白ワインは15−20℃、赤ワインは25〜30℃。

5.熟成(11月~)

・酸味やタンニンをなじませるために熟成させる。
・複雑性を出したい場合は樽熟成。新樽を使うと樽香が強くなる。
・フレッシュなワインにしたい場合はステンレスタンクや瓶熟成。酸欠状態での熟成となるため開栓時は還元反応により酸素が多く取り込まれるので、香りが開くまで時間がかかる。
・オリ(酵母の死骸等)が沈殿するため取り除く(オリ引き)。
・あえてオリ引きせずにワインに旨味と奥行きを与える場合もある(シュルリー SurLie)。

スパークリングワインの作り方(シャンパーニュ方式)

1.収穫(9月)

・シャンパーニュ地方は手摘みしか認められない。

2.圧搾(9月)

・最初の搾汁(一番搾り)で造ったワインはTête de Cuvée(テートドキュベ)と呼ぶ。
・次の搾汁で造ったワインをPremière Taille(プルミエールタイユ)と呼ぶ。
・シャンパーニュ地方では、これ以降の搾汁で造ることは認められていない。

3.一次発酵(10月)

・搾汁をタンクで一次発酵させる。完全には発酵させない。

4.調合:アッサンブラージュ(翌年2月)

・リザーブワイン(前年までに貯蔵してあるワイン)数種類を各メーカーのブランドイメージに沿って調合する。

5.瓶内二次発酵(翌年3月から数年間)

・酵母とショ糖を加えて瓶詰めする。
・瓶内で再び発酵が始まり、酵母が出す二酸化炭素によって炭酸ワインとなる。
・発酵させたまま酵母ごと熟成させる。
・シャンパーニュ地方では最低15ヶ月、ヴィンテージ品は最低3年の熟成義務がある。

6.動瓶:ルミュアージュ(出荷前)

・ピュピトルに瓶口を下にしてセットする。
・5〜6週間に渡って毎日1/8回転ずつ回しながら徐々に瓶を立て、オリを瓶口へ集める。

7.オリ抜き:デゴルジュマン(出荷前)

・瓶口を−20℃に冷却し溜まったオリを凍らせる。その後、栓を抜くと炭酸の圧力で凍ったオリが外に飛び出る。
・リキュールで甘みを足して味を調整する(門出のリキュール)。

スパークリングワインの作り方(シャルマ方式)

シャルマ方式はタンクで2次発酵を行ってから瓶詰めする。製造工程がシンプルになるため安く大量に生産できる。また、樽を使わないためブドウのフレッシュなアロマが残りやすい。主要産地はプロセッコ(イタリア)、ゼクト(ドイツ)が有名。

その他、いろいろなワインの作り方

1.ロゼワイン

セニエ法
・赤ワインと同様にブドウの皮や種ごと発酵させ後、良いピンク色になったら圧搾して果汁だけを取り出して発酵を再開する。
・ピンク色の濃淡を調節しやすい。

直接圧搾法
・黒ぶどうを使って白ワインと同様の製法を取ると程よく色がつく。
・ピンク色は薄い。

混醸法
・黒ぶどうと白ぶどうを混ぜて発酵させる。
・発酵後の赤ワインと白ワインを混ぜるのはフランスでは禁止。

2.オレンジワイン

・白ぶどうを使って皮ごと発酵させるとオレンジ色のワインになる。
・主要産地はジョージア。

3.デザートワイン

貴腐ワイン
・ぶどうの果皮に貴腐菌がつくことで水分が抜かれ糖度の高いぶどうとなる。これを発酵させて甘口ワインとする。
・1本の樹からグラス1〜2杯程度のワインしか造れないため高価。通常のワインは1本の樹からボトル1本程度のワインが作れる。
・フランスのソーテルヌ、ハンガリーのトカイ、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーザが世界三大貴腐ワイン。

アイスワイン
・ぶどうが凍った状態で収穫から圧搾まで行うことで、水分が凍って果汁から除去されるため糖度の高くなり、甘口ワインが造れる。これも少量のワインしか造れないため高価。
・主要産地はカナダ、オーストリア、ドイツ。

ポートワイン
•発酵中、ぶどうの糖分が残った状態でグレープスピリッツ(77%)を入れて発酵を止め、甘口ワインとする。
•主要産地はポルトガル。

マデイラ
•発酵中にブランデーを添加してアルコール度数を17〜22%に酒精強化する。その後カンテイロと呼ばれる日光で加熱される建屋の中で熟成させることによって独特のフレーバーが生まれる。
•主要産地はポルトガルのマデイラ島。

4.シェリー

・発酵後、蒸留酒を加えて15〜17%に酒精強化する。その後、12年以上熟成させる。20年熟成でVOS、30年以上でVORSを名乗れる。
・主要産地はスペイン。

まとめ

ワインの作り方は他のお酒と比べて工程がシンプルなんです。なぜなら、ブドウ単体で、お酒を造るのに必要な「糖分・水分・酵母」が既に備わっているからです。他のお酒、例えば日本酒では、お米を糖分に変えて水と酵母を外から加えないとお酒になりません。つまり、人が手を加えてやらないとお酒ができないんですね。

ブドウは環境が整えば自然とワインに変化したため、昔の人は「神様からの贈り物」だと考えていたようです。そのため、ヨーロッパを中心に「ワイン造りに励むことが神様のご加護を得られる唯一の方法」といった価値観が広まり、修道士たちは信仰としてブドウ畑を開拓していったそうです。

もちろん現代ではアルコール発酵の原理が解明されていますから、そのような価値観は薄れてきていると思います。しかし、そうした修道士たちが開拓したブドウ畑が、今でも唯一無二の素晴らしい高品質なワインを造ることができる畑になっているということは、本当に神様からの贈り物なのかと思ってしまいますね(^_^)/~

今回の記事は以上です。