前回に続き、ワインエキスパート受験時代の知識まとめです。今回は新世界のワイン産地についてまとめました。
新世界(ヨーロッパ以外)のワイン産地
アメリカ
California カリフォルニア | |
■主な品種 シャルドネ カベルネソーヴィニヨン ジンファンデル ピノノワール | ■概要 ・カリフォルニア海流が寒流のため海岸側が冷涼で大陸側が温暖 ・アメリカのワイン生産量の90%を占める ・主要地区 メンドシーノ…先端技術を取り入れオーガニックで持続可能なワイン造りが行われている。美術の町としても有名。 ナパ…1976年パリテイスティングでNo.1を獲得して以降、世界的に人気がある。スタッグスリープ、オークヴィル、ラザフォードに有名ワイナリーが集結する。 ソノマ…ナパに次ぐ高級ワイン産地。ナパより冷涼でスパークリングワインや白ワインが多い。 サンベニート…標高高い。有名コスパワイン「カレラ」の産地。 サンルイスオビスポ…昼夜の気温差が大きい。パソロブレスが人気のエリア。 サンタバーバラ…カリフォルニアで最も冷涼。有名コスパワイン「オーボンクリマ」の産地。 |
Oregon オレゴン | |
ピノグリ ピノノワール | ・ブルゴーニュとほぼ同じ緯度であり、良質なピノノワールの産地 ・主要地区 ウィラメットヴァレー…冷涼で乾燥しているが、日照量が多いため果実味も十分に育つ。 |
Washington ワシントン | |
リースリング シャルドネ カベルネソーヴィニヨン メルロー シラー | ・アメリカで2番目のワイン生産量 ・複数の地域(A.V.A.)のワインをブレンドすることが多いため、より広大なコロンビア・ヴァレーというA.V.A.も存在する。 ・主要地区 ヤキマヴァレー…ワシントン州で最初に認可されたA.V.A. ワラワラヴァレー…昔からのワイナリーが多い。赤ワインが多い。 |
New York ニューヨーク | |
リースリング ゲヴェルツトラミネール シャルドネ ヴィダル ピノノワール | ・1950年代に欧州系品種(ヴィニフェラ種)の栽培に成功するとワイン産地として飛躍的に伸びてきている。 ・ワインのほとんどはこの地域で消費される。 ・主要地区 フィンガーレイクス…冷涼な気候。酸味の豊かなエレガントなワインを造る。 |
オーストラリア
Victoria ヴィクトリア | |
■主な品種 シャルドネ ピノノワール シラーズ カベルネソーヴィニヨン | ■概要 ・「英国民のブドウ畑」と言われるほどイギリス向け輸出量が多い。 ・冷涼な気候によりシャルドネとピノノワールが高品質。 ・要地区 ヤラヴァレー…オーストラリア最高級のピノノワール産地。バロッサヴァレーとは対照的にミディアムボディーのワインを造る。 |
New South Wales ニュー・サウス・ウェールズ | |
シャルドネ セミヨン シラーズ カベルネソーヴィニヨン メルロー | ・オーストラリアワインの発祥地。1790年代からブドウ栽培始まる。 ・フィロキセラの被害から免れたため60~100年の古木が多く、ワインに複雑味がある。 ・主要地区 ハンターヴァレー…最も歴史の古いワイン産地。セミヨンの辛口ワインが有名。 リヴァリーナ…量産用ワインの産地。海外輸出向け。 |
South Austraria サウス・オーストラリア | |
リースリング セミヨン シャルドネ シラーズ グルナッシュ カベルネソーヴィニヨン | ・オーストラリアのワイン生産量の半分を担う。 ・フィロキセラの被害から免れたため地域であり古木が多い。 ・主要地区 バロッサヴァレー…温暖な気候でフルボディーなワインを造る。「シラーズの首都」と呼ばれる。酒精強化ワインも有名。 クレアヴァレー…オーストラリアを代表するリースリングの産地。石灰岩由来のミネラル分がある。 イーデンヴァレー…リースリングとシラーズ。 マクラーレンヴェイル…気温が高く、濃厚な赤ワインを造る。チョコレートの風味さえある。 |
Western Austraria ウエスタン・オーストラリア | |
シュナンブラン シャルドネ セミヨン シラーズ カベルネソーヴィニヨン | ・生産量は少ないが高品質なワインが多い。 ・主要地区 スワンディストリクト…シュナンブランが有名。 マーガレットリバー…ボルドーと気候が似ており、ボルドースタイルのワインに定評がある。ボルドー、ボルゲリ、ナパに匹敵する産地。 グレイトサザン…灌漑設備が必要だが気候がワイン造りに適しており、今後が注目される産地。 |
ニュージーランド
Gisborn ギズボーン | |
■主な品種 シャルドネ ソーヴィニヨンブラン ミュラートゥルガウ | ■概要 ・昔はニュージーランド最大のワイン産地だったが現在は第4位。 ・「シャルドネの首都」と呼ばれる。 ・1769年にクック船長が初上陸した土地。 |
Hawkes Bay ホークスベイ | |
ソーヴィニヨンブラン カベルネソーヴィニヨン メルロー | ・ニュージーランド第2位のワイン産地。 ・ボルドースタイルのワイン造り。 |
Marlborough マールボロ | |
ソーヴィニヨンブラン シャルドネ リースリング ピノノワール カベルネソーヴィニヨン | ・世界No.1のソーヴィニヨンブランの産地。 ・テイスティングの世界標準に指定されたワイン「クラウディーベイ」の産地。 |
Central Otago セントラルオタゴ | |
シャルドネ ピノグリ ピノノワール | ・ニュージーランド第3のワイン産地。 ・ニュージーランドで最も標高が高く、最南端であり、冷涼な気候。 ・ブルゴーニュ以外でピノノワールが成功した唯一の土地、と言われる。 |
チリ・アルゼンチン
La Rija ラ・リオハ | |
■主な品種 トロンテスリオハーノ | ■概要 ・標高900~1400mと高く涼しい気候、乾燥していて風が強い。 ・ほとんどは地元消費のワイン |
San Juan サン・ファン | |
セレーザ ペデロヒメネス シラー | ・標高600mとアルゼンチンでは比較的低い耕地で温暖な気候。 ・生食用ブドウの主要産地 ・ロゼと白が多い |
Mendosa メンドーサ | |
ペデロヒメネス ソーヴィニヨンブラン マルベック ボナルダ カベルネソーヴィニヨン | ・アルゼンチンワインの7割を生産する ・標高600~1100mの緩やかな斜面 ・16世紀にスペインの開拓者によってブドウ栽培が始まる。 ・中央部に位置するルハン・デ・クージョのマルベック、マイプのソーヴィニヨンブランが高評価。 |
Aconcagua アコンカグア | |
シャルドネ ソーヴィニヨンブラン ピノノワール カベルネソーヴィニヨン | ・晴天率が高く日照量が豊富で果実味豊かなワインを造る。 ・主要地区 アコンカグアヴァレー…1500m級の山に囲まれた温暖な地。赤ワイン。 カサブランカヴァレー…標高400mの緩やかな傾斜地。シャルドネ。 サンアントニオヴァレー…海風の影響を受ける。ソーヴィニヨンブラン。 |
Central Valley セントラル・ヴァレー | |
セミヨン ソーヴィニヨンブラン シャルドネ カベルネソーヴィニヨン メルロー マルベック | ・日照量豊富で昼夜の寒暖差も大きいため果実味と酸味がともに豊かに育つ。 ・チリ最大のワイン産地 ・主要地区 マイポヴァレー…カベルネソーヴィニヨンが中心。 ラペルヴァレー…メルロー。 クリコヴァレー…ソーヴィニヨンブラン。 マウレヴァレー…カベルネソーヴィニヨンとシャルドネ。 |
Sauth サウス | |
マスカット・オブ・アレキサンドリア シャルドネ パイス | ・ほとんどが国内消費向けの産地 ・主要地区 イタタヴァレー…マスカット・オブ・アレキサンドリアが中心。 |
日本
北海道 | |
■主な品種 ナイアガラ ケルナー シャルドネ キャンベルアーリー ミュラートゥルガウ ピノノワール カベルネソーヴィニヨン メルロー | ■概要 ・年間を通じて気温が低くブドウの酸味が育ちやすい。 ・夏は降雨量が少なく乾燥しているためブドウが健康に育ちやすい。 ・2018年に地理的表示制度(GI)に「北海道」が認められた。 ・主要ワイナリー 十勝ワイン…1963年創業。北海道ワインの祖。 おたるワイン…小樽市。国内最大の自社畑。 ドメーヌ・タカヒコ…余市町。ピノノワール。長野小布施ワイナリーの次男。 10R(トアール)…岩見沢市。北海道産ブドウを使った受託醸造のみ。 野楽蔵(のらくら)…函館市。自然派志向(野生酵母、ノンフィルター、低酸化防止剤等) |
山形置賜 | |
シャルドネ デラウェア マスカットベーリーA ブラッククイーン メルロー | ・日本一のデラウェア産地 ・2021年に地理的表示制度(GI)に「山形」が認められた。 ・主要ワイナリー 高畠ワイナリー…東置賜郡高畠町。シャルドネが好評。 酒井ワイナリー…南陽市。1892年創業。当時から無濾過。無添加ワインもある。 浜田ワイン…米沢市。シャトーモンサンとして販売。 タケダワイナリー…上山市。ビオディナミ。月の運行に従ってワイン造りを行う。 朝日町ワイン…西村山郡朝日町。ブドウの風味を真面目に引き出す。無濾過。 |
甲府盆地 | |
甲州 シャルドネ マスカットベーリーA メルロー | ・日本最大のワイン産地。 ・昼夜の気温差が大きくブドウの酸が育ちやすい。 ・2013年に地理的表示制度(GI)に「山梨」が認められた。 ・主要ワイナリー 登美の丘ワイナリー…甲州市勝沼。高級ワイン「登美」「登美の丘」シリーズが好評。 シャトーメルシャン…甲州市勝沼。「城の平」ブランドで高級ワインを造る。 勝沼醸造…甲州市勝沼。高品質ワインを追求する。「アルガブランカ」が好評。 丸藤葡萄酒工業…甲州市勝沼。「ルバイヤート」のブランドで知られる。 中央葡萄酒…甲州市勝沼。「グレイスワイン」のブランドで知られる。 フジッコワイナリー…甲州市勝沼。ワイン名は「フジクレール」。 蒼龍葡萄酒…甲州市勝沼。1899年創業で最も古いワイナリーの一つ。 くらむぼんワイナリー…甲州市勝沼。社名は宮沢賢治の童話「やまなし」の蟹の言葉。 本坊酒造…笛吹市。ワイン名は「マルスワイン」。 アルプスワイン…笛吹市。日本では珍しいシラーの栽培に挑戦している。 ルミエール…笛吹市。1901年に地下に構築した石蔵で発酵させる。 シャトー酒折ワイナリー…甲府市。コスパの良いワインを造っている。 |
信州ワインバレー | |
ナイアガラ コンコード シャルドネ メルロー | ・日本第2のワイン産地。 ・2021年に地理的表示制度(GI)に「長野」が認められた。 ・主要ワイナリー シャトーメルシャン…塩尻市。「桔梗が原メルロー」で世界が注目。 マンズワイン小諸ワイナリー…小諸市。日本を代表する「ソラリス」シリーズ。 サントリー塩尻ワイナリー…塩尻市。メルローとマスカットベーリーA。 井筒ワイン…塩尻市。1933年創業当時から、ブドウ栽培から醸造まで一貫生産。 林農園五一ワイン…塩尻市。1911年創業。信州のメルロー栽培のパイオニア。 アルプス…塩尻市。生産数日本第7位。2008年からブドウ栽培も開始。 小布施ワイナリー…小布施町。ドメイヌソガとして販売。高品質だが少量生産で入手困難。 |
その他 | |
ー | エーデルワイン…岩手県花巻市。オーストリアと交流のあるワイナリー。受賞ワイン多数。 岩の原葡萄園…新潟県上越市。日本ワインの父 川上善兵衛が1890年に創業したワイナリー。 ココファーム…栃木県足利市。特別支援学校の生徒に働く喜びを与えるために設立されたワイナリー。 丹波ワイン…京都府京丹波町。日本酒の酒蔵でワインを造る。 神戸ワイナリー…兵庫県神戸市。農業振興を目的に神戸市が設立。 安心院(あじむ)葡萄酒工房…大分県宇佐市。麦焼酎「いいちこ」の三和酒類が始めたワイナリー。 都農(つの)ワイナリー…宮崎県児湯郡。人気ブドウ園をワイナリーとした。 |
カナダ
Okanagan Valley オカナガン・ヴァレー | |
■主な品種 シャルドネ リースリング ピノノワール | ■概要 ・大陸性気候で夏は暑く冬は寒い。 |
Niagara Peninsula ナイアガラ・ペニンシュラ | |
ヴィダル シャルドネ リースリング メルロー | ・ヴィダルによるアイスワインが有名。 ・アイスワインは12~2月の寒い時間帯にブドウが凍った状態で収穫から搾汁まで行う。 凍ったまま搾汁することで水分が除去された糖度の高い果汁が得られる。 ・ヴィダルはユニブランとセイベル4986の交配で皮が厚く氷点下でも傷まない。 |
南アフリカ
Stellenbosch ステレンボッシュ | |
■主な品種 スティーン(シュナンブラン) カベルネソーヴィニヨン シラーズ ピノタージュ | ■概要 ・南アフリカ第1のワイン産地。 ・ピノタージュ誕生の地。 ・エレガントな旧世界ワインと濃厚な新世界ワインの中間的なワイン |
Paarl パール | |
スティーン(シュナンブラン) カベルネソーヴィニヨン シラーズ ピノタージュ | ・ステレンボッシュより暑くフルボディーなワインとなる。 ・排水性の良い花崗岩とシェールからなる土壌で夏は灌漑設備が必要。 |
中国
山東省(さんとんしょう) | |
■主な品種 シャルドネ リースリング 蛇龍珠(カベルネガーニッシュ) カベルネソーヴィニヨン メルロー | ■概要 ・中国ワインの約40%を生産する。 ・ボルドーの気候と似ており、フルボディーなワインを造る。 ・中国三大ワインの一つ「張裕(チャンユー)」の所在地。1982年設立。 ・シャトーラフィットロートシルトの中国産ワイン「ロンダイ」も2018年にデビュー。 |
河北省(かほくしょう) | |
ドラゴンアイ カベルネソーヴィニヨン | ・中国三大ワインの「長城葡萄酒」と「王朝(ダイナスティー)」の所在地。 |
寧夏(ねいか) | |
シャルドネ ヴィダル カベルネソーヴィニヨン マルスラン 蛇龍珠(カベルネガーニッシュ) | ・大陸性気候で夜は寒く、土を盛ってブドウの木を守る。 ・世界で最もワイン造りに適した土地の一つと言われている。 ・力強く凝縮感のある高品質ワインで「中国のナパ」とも言われている。 ・ヴィダルでアイスワインも造られている。 |
雲南省(うんなんしょう) | |
カベルネソーヴィニヨン マルスラン ローズハニー | ・海洋性気候で温暖。 ・モエヘネシールイヴィトン社が手掛ける高級ワイン「AoYun(アオユン)」が話題。 |
ワインの知識まとめは以上です。それでは(^_^)/~